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「2016年度学会発表奨励金」は選考委員会における厳正なる審査の結果、下記の課題に決定いたしました。

 

 記

 

1.受賞課題

S-nitrosyalation Is Responsible for Muscle Atrophy and Weakness in GNE Myopathy

2.受賞者

宮川美保さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部 流動研究員)

3.学会発表内容

以下の通りです。詳細は添付の研究成果報告書を参照ください。

(1)学会名

Experimental Biology 2017, American Society of Biochemistry and Molecular Biology

(2)開催地

McCormick Place, 2301 S. King Dr, Chicago , IL, USA

(3)開催期間

2017年4月22日(土)~2017年4月26日(水)

(4)参加目的・意義

本研究では、GNEミオパチーの発生機序について、

1)筋収縮により生じる酸化ストレスレベルの上昇

2)これに伴う筋収縮関連タンパク賃(骨格筋・エネルギー産生)のS-ニトロシル化の上昇

3)シアル酸が酸化ストレスの打ち消しに重要な役割を果たしていること

が見出され、これらの点に関して生化学的な視点から、情報交換を図ることを目的とした。

Experimental Biology (EB) 2017はAmerican Association of ANATOMISTS(AAA),American Society of Biochemistry and Molecular Biology (ASBMB),American Physiological Society (aps),American Society for Investigative Pathology (ASIP),American Society for Nutrition(ASN),The American Society for Pharmacology and Experimental Therapeutics (ASPET)の6つの学会が同時開催される世界最大級の生化学会である。本学会参加の利点は、病理学だけでなく、生理学、生体物理学や栄養学等の視点からの筋研究に関する知見を得ることができ、本疾病の発生機序のさらなる理解に貢献できることである。

4.審査

(1)審査項目

・新規性 ・独創性 ・科学的妥当性 ・遠位型ミオパチー研究分野に与えるインパクトの大きさ

(2)審査コメント

・GNEミオパチーではシアル酸代謝異常にくわえて、S-ニトロシル修飾が増加し、それが筋の萎縮を増大させることを明らかにした。抗酸化剤であるN-アセチルシステイン(NAC)がS-ニトロシル修飾を抑制し、筋萎縮に対して有効であることを見いだした極めて優れた研究である。シアル酸投与に加えて、GNEミオパチーの治療に新しい道をつけると高く評価する。

・S-ニトロシル化に着目した点がユニークで独創性がある。ニトロシル化したタンパクをLC-tandem massで解析するという先進的な手法を用いている点も評価できる。

・新規性と共に治療に繋がる発展が期待できる。今後、ROSの抑制という治療戦略に基づく治療法開発にも取り組んでいただきたい。

(3)審査結果決定日

2017年2月20日

5.学会発表奨励金

20万円

6.添付資料

研究成果報告書

遠位型ミオパチーの治療に新しい道をつけていただく研究は患者として大変嬉しく希望が持てます。
今後も多くの新しい研究が増えていく為の一助になればと願っております。