2019年8月25日(日)に東武ホテルレバント東京3階「吉野」にて、
「PADM国際シンポジウム~治療研究のために患者ができること~」を開催しました!

海外からのスピーカーの皆様をお迎えするとあって、海外経験豊富な織田代表の発案・手配により、いつものPADMイベントより奮発してのおもてなしです。^^;

第1部は患者交流会でした。

西野先生と吉岡先生にも参加いただき、美味しいお弁当とともに和やかな時間を過ごしました。

最近会員になられた方がお二人、しかもお一人は新潟からの参加でした。

自己紹介やこの病気での困りごとや工夫について(靴、装具、車の運転、長時間の立ち仕事、階段の昇り降り、痛み、食事等々)感心したり情報交換したりと、様々なお話をしました。

第2部は国際シンポジウム。

司会・座長を西野先生、通訳を西野先生と吉岡先生にお願いし、進行しました。

🍀座長挨拶


西野 一三 様
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部 部長 
 

インド、米国、日本で共同研究ができないかというお話から、各国の皆様の訪日、そして日本の患者との交流や情報の共有、共同研究推進を目的に今回のシンポジウムが企画されたという経緯などお話してくださいました。


🍀World without GNE myopathy(GNEミオパチーのない世界へ):これまでの道のり


Alok Bhattacharya 様
インド患者会“World without GNE Myopathy(WWGM)”理事、アショカ大学教授  

お嬢様がGNEミオパチーに罹患されたことをきっかけに立ち上げた、WWGMの活動の紹介をしていただきました。

インドにおける希少遺伝性疾患は、認知度が低い他、治療費が非常に高額で保険診療や政府の援助はありません。新しい政策が検討されています。

WWGMは2015年に設立され、専門家や患者たちで理事を構成、GNEミオパチーを中心に神経筋疾患の治療法を見つけ、患者の QOL を上げることを目標として活動しています。
具体的には、以下のような活動をしています。

  • インドの患者に適切な診断と治療を届けるための活動
  • 研究者向けや患者向けなど様々な会議、国際的なオンラインセミナーを開催
  • メディアによる認知度向上活動
  • 患者主導で希少疾病薬の研究開発を進めるための活動
  • ロビー活動
  • 創薬センター(CDD)設立
  • 研究ネットワークの構築
  • 資金調達活動

早くも患者登録が進む、診断率が上がる、論文出版、複数の研究案が出てきているなど、成果が出てきています。
治療法を見つけることは難しいことですが、進行する疾患のため、できるだけ早く、あらゆるアプローチで活動していきたいとのことです。


🍀GNEミオパチー治療法開発への連携と資金調達 ー NDFの世界戦略 ー


Lale Welsh 様
NDF (Neuromuscular Disease Foundation) 代表  

Welsh氏は、NDFでCEOに着任して5年目になります。

NDFは2006年にロサンゼルスのある小さな地域からはじまり、現在、26か国と連携しています。2018年までに、NDFは臨床研究に対して、300万ドル以上の資金を提供し、2018年から2019年末の間に、遺伝子治療のような治療法開発研究への資金援助をさらに500万ドルを増やす予定です。

NDFは、以下の3つを核として活動しています。

  • 市民、医師、研究者を対象としたGNEミオパチーに関する教育・啓蒙活動
    • 毎年の会議やシンポジウム開催(2年前に西野先生や織田代表も参加しました)
    • 患者・家族・介助者への現実的な社会的・精神的支援
    • 旅費・奨学金提供
    • 科学者の集まる場の提供
  • 患者さんへの支援
    • 世界中の患者さんを繋げる
    • オンラインセミナー
    • 患者支援プログラム(CPAプログラム)
    • 適切な診断を行う支援・認知度向上活動
    • 患者最優先に科学者や企業が動いているかの監視
  • 治療法を見つけるための臨床研究への資金提供
    • 米国で治験中のマンナックによる治療法を迅速に確立
    • 遺伝子治療の治験開始の準備
    • 市場化に向けた企業の誘致

NDFが研究の初期段階に資金提供を行うことで企業が損失を被るリスクを減らし、研究が軌道に乗ったところで企業に引き継ぐ、という手法をどの会社も気に入ってくださっています。
NDFが本当の意味で成功するための唯一の方法は、全ての関係者と協力して共に行動することだと信じています。ぜひ一緒に実現しましょう!


🍀遠位型ミオパチーの最新の知見: GNEミオパチー、OPMD、三好型ミオパチー/LGMD2B


Tahseen Mozaffar様
カリフォルニア大学 神経内科 教授 

Mozaffar氏はパキスタン出身でNDFのアドバイザリーもしています。

GNEミオパチー、OPMD(”OPDM”は米国ではとても稀で診たこともないのでとても似ている”OPMD”について)、三好型ミオパチー(LGMD2B) の最新の知見についてご講演いただきました。

GNEミオパチー
GNEミオパチーの特徴などの話の後に、臨床試験段階の治療法について最新の情報をお伝えいただきました。

  • シアル酸徐放剤による治療法(Ultragenyx社)
    • 血中シアル酸濃度は上がったが、上下肢機能などの評価項目では全て有意差が出ませんでした。
  • ManNAcによる治療法(NIH)
    • 第一相試験
      • 安全性を見る試験です。安全性は問題なく、血中シアル酸濃度も上昇しました。
    • 第二相試験
      • 治療効果を見る試験です。
      • 1施設で2年間ManNAcを投与しました。
      • データ解析中ですが、一部の患者で胃腸の調子が悪くなったが安全性は大きな問題なさそうで、45%の患者さんで進行が遅くなっているようです。
    • 第三相試験
      • さらにケースを増やしての最終的な試験です。米国10施設で実施予定です。

OPMD(眼咽頭型筋ジストロフィー)
PADMに患者さんのいるOPDM(眼咽頭遠位型ミオパチー)ととても似た病気です。
眼瞼下垂、嚥下障害、近位筋の低下などが特徴です。
タンパク質を安定化させる薬がイスラエルなどで臨床試験が実施されていましたが、資金不足で治験が止まっています。
カナダでは遺伝子治療が計画されていますが、詳しいことはまだわかりません。

三好ミオパチー(LGMD2B、LGMDR2)
まず、疾患名の変更の動きがあります。肢体型筋ジストロフィー(LGMD)には数多くの疾患が含まれ、アルファベットを使い切ってしまいました。そこでLGMD2BからLGMDR2へ名称が変更されることになりました(”R”は、劣性遺伝(潜性遺伝)を表す”Recessive”から採られています)。

この疾患では臨床評価指標を研究するための治験中です。
そのうちいくつかの指標は、患者さんの状態を測るのにかなり有効と思われ、またこれからの進行の予測にも活用できると期待されています。

遺伝子治療の試みも、米国オハイオの施設で行われています。
足の筋肉に直接注射するという手法です。
サレプタ社というデュシェンヌ型筋ジストロフィーのエクソン・スキップ治療法を実現した実績ある会社によって、米国及び外国のいくつかの施設で臨床試験が計画されています。


🍀患者も参加する治療法開発への道のり


中村 治雅 様
国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター 臨床研究支援部長

 
薬の開発におけるパラダイムシフト、Patient centricity(患者を中心に考える:全ての患者の福祉や医療に患者の声を聴き、ともに進める)というテーマについてお話をいただきました。

薬の開発の前段階から承認・実用化まで、どれだけ患者にできることがあるか、ニーズや資金活動、患者リクルート等々、本当にたくさんあります。

1990年代の欧米で、HIV治療薬からこの動きは始まりました。薬の開発過程で規制当局と患者とで対話が行われました。

日本でも、AMED(日本医療研究開発機構)が、研究への患者・市民参画(PPI)が推進されています。https://www.amed.go.jp/ppi/index.html
US、EU、日本で現状を比較すると、日本は、産官学連携、患者さんへの教育等はできていますが、臨床試験の計画や結果の審査に参画はされていません。ただ、今後は前進していくだろうと考えています。

GNEミオパチーでは、レジストリへの参加、アカデミアと連結してのシンポジウム、周知活動が行われていると言えます。

オーファンドラッグ開発は右肩上がりで、数年後には製薬市場での売り上げの10%以上はオーファンドラッグになると言われています。
患者さん中心の新薬開発はオーファンドラッグではもはやメインストリームです。
新薬開発のすべてのフェーズでより患者さんが参加していきましょう。


🍀PADMの活動


織田 友理子
NPO法人PADM 代表  

この日は会場の設営をしてから、国技館へ移動して24時間テレビの生出演、その後シンポジウムに戻り、PADMの活動を紹介するという流れでした。

PADMは、2008年に設立、「一日も早く患者の手元に薬を」「何もしなければ何も変わらない」がスローガンでした。
設立当初から2014年まで署名活動を行い、国の指定難病になりました。
その他、ロビー活動、シンポジウム、交流会、福祉用品フェアー・ストレッチ講習会、HALへの研究協力、国際連携、TREAT-NMDに執行役員として参加、メディアによる周知活動など、様々な活動をしてきました。

  • 主な成果として、
    • 1 2015年に国の指定難病になったこと
    • 2 GNEミオパチー治療法開発へ政府の支援を得て、医師主導型治験に結びつけたこと
    • 3 ウルトラ・オーファンドラッグ制度が整えられたこと
  • があげられます。

2018年には、『遠位型ミオパチーガイドブック』を発行しました。
https://npopadm.com/guidebook/
今後も、同じ病気の患者と出会える場を作り、励ましあい、知恵の出しあいをしていきたいと願っています。

🍀    🍀    🍀

最後に海外からお越しくださった皆様に、サプライズで記念品をお贈りました。
東京都指定伝統工芸師 東京彫金制作家 小川真之助さんのクレマチスのブローチです。
https://www.facebook.com/sinnnosukeogawa/

夕食会

シンポジウム後にセッティングした夕食会で、早速ブローチを着けていただきました。

男性陣には奥様にとも考えていましたが、男性陣もよくお似合いでした。
夕食会も和やかな時間を過ごし、翌日はNCNPにて研究者間のミーティングとのことでした。
今後の国際共同研究が活発に進むことを祈り、患者ができることを考えていきたいと思います!