この度、GNEミオパチー患者を対象に、妊娠、出産、新生児に関するアンケート調査が実施されたくさんの方々のご協力のもと、国立精神・神経医療研究センター 神経研究所の研究生である吉岡和香子先生が、「GNEミオパチー患者の妊娠:日本における調査」と題し論文をまとめてくださいました。

妊娠中また出産後についてのこの詳細なデータが、これから妊娠を考える患者にとって、そしてその患者を支える医師の方々にとってとても重要な助けになることでしょう。

以下に論文の PDF と日本語訳の概要を掲載いたします。

【PDF】画像をクリックすると全ページが表示されます


【日本語訳概要】
GNEミオパチーは生殖年齢に発症することが多く、緩徐進行性であることより挙児を希望する女性患者さんも少なくありません。
一方、GNEミオパチーにより妊娠出産の過程そのものに問題を生じるか、また妊娠出産がミオパチーの症状に悪影響を与えるか等に関しては、症例報告が少数見られるのみで定見はありませんでした。
挙児をためらう患者さん、不安を抱えながら妊娠や出産をご経験される患者さん、情報不足の中手探りで妊娠・分娩管理をする産科の先生の声も多く聞かれました。

そこで、Remudyに登録されたGNEミオパチー女性患者を対象に匿名アンケート調査を行い、妊娠・分娩・産後の経過を集めました。
ご回答いただいた女性患者78名の内、妊娠を経験した女性は44名(61.1%)であり、発症前の妊娠53件,発症後の妊娠32件でした。
発症後の妊娠では、切迫流産の頻度が一般集団より高かった(日本の一般人口11.9% vs GNEミオパチー 26.9% p=0.03)ですが、他に頻度が高い合併症は見られず、母児ともに概ね良好な経過をたどっております。
原病の進行については、産後1年以内に進行が加速したと自覚した患者が19.0%いらっしゃいました。
また妊娠中にGNEミオパチーを発症した方はいらっしゃらなかったのですが、産後1年以内に発症した患者が6名いらっしゃいました。
これらに関しては妊娠出産は原病の進行を速める可能性もありますが、育児に伴う身体的負担の増加により軽微な筋力低下に気付いた可能性もあります。

今後前向きに客観的なデータを集積する必要がありますが、本調査研究からは、GNEミオパチーの妊娠出産は比較的安全と考えられました。

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